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序章*夕焼けとはじまりのメール
それはまだタクヤが小学2年生の時のお話……
「まぁ~、雪90点とったの‼凄いわねー」
「うん、頑張ったもん‼」
「雪、お父さんが今度何かご褒美に買ってやるからな」
「やったぁ~‼」
普通の家庭の会話
そう思うだろう
だけど、ねぇ気付いて僕だってココに居る。僕は百点とったよ…?なんで雪だけ誉めるの?
その明るい部屋の隣にもう一人男の子がいる
暗い部屋でドアから向こうの光がもれているだけ
その男の子の手には百点と、ハナマルマークがついたテスト用紙
隣の部屋から弟の…雪の笑い声がする
「じゃあ、お父さんっ‼電車がいいっ‼‼」
と、子供独特の高く可愛い声で言う雪
イライラする
なんで雪だけ…
スパーッとタバコを吸っているのだろう
大きく煙をはいた後に
「分かった、分かった買ってやるよ 」
と、父親は言う
雪はピョンピョン跳びはねながら
「本当に?!やったぁ!!お父さん大好きっ」
と、明るい声で言った
グシャッ
涙でインクが滲んだ百点の用紙はタクヤによってグシャグシャにされた
雪なんて大嫌い大嫌い大嫌い大嫌いっ!!!!
頭を父親の大きな手でわしゃわしゃとなでられ笑顔な雪とは逆に、隣の薄暗い部屋で泣くタクヤが居た
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