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ふと目が覚める。
接着されたような重たい瞼を薄く開くと、薄いブルーのカーテンを貫いて朝焼けが瞼を赤く染めた。
時間を確認しようと壁掛け時計を見ると、灰色の猫のキャラクターの右手が5の数字を指していた。息を深く吐くと、もう一度目を閉じる。夢に手を引かれて意識が薄れていく。
カタカタ、カタカタと小気味よい音が夢に割り込んで聞こえてくる。顔は動かさずに目だけを音をした方に向けると、パソコンデスクに座った純一がせわしなくキーボードを叩いていた。
髪は目が隠れるほどに長く、とがった顎、細身で猫背、黒い縁の眼鏡をかけている。時折、眼鏡を上下させる純一の姿からは彼の神経質さが見え隠れしている。
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