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彼は俺の見る幻覚である。
彼と俺の出会いは中々に衝撃的で、部屋で雑誌を読んでくつろいでいるとドアが勢いよく開いた。
呆けた顔で視線を向けるとそこにテレビでよく見かけるオタクのような風貌の冴えない男があちらも驚いた様子で立っていた。
戸惑いの嵐が去った後、頭をよぎったのは泥棒という言葉だった。彼の見た目が貧弱だったせいか恐怖などは微塵もなく、音もなく立ちあがった俺はその男に殴りかかった。
男は殴られる事を感じて両手を顔の前で交差させて、目を強くつぶった。
ガードごと壊すつもりで振り切った拳は男の体をすり抜けて空をきった。
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