高校時代の思い出 

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放課後の校門横の駐輪場での出来事。 「桜花(おうか)ちゃん、俺と付き合ってください」 「葵(あおい)くん?突然どうしたの?」 「俺、桜花ちゃんの事が好きなんだ」 「あ、ありがとう・・・でも」  その後の言葉が続かない 「桜花ちゃん、俺のことどう思う?好き?」 「私は・・・」 「俺のこと嫌い?」 「そんなわけないよ。嫌いだなんて、そんなこと・・・ない」 途切れ途切れにしか言葉が出ない。 「じゃあ好き?」 「私は・・・私は葵くんのことずっと大切な友達と思ってた、これからもそう・・・」 「そっか、やっぱり桜花ちゃんは大輔の事が好きなんだね」 「ええ?」 「いいよ、分かってたし。でも俺も桜花ちゃんの事好きだったからこの気持ちだけは伝えたくて」 「葵くん、ごめんね」 「謝らないで、惨めになるから」 「ごめん」 「また謝ってる」 「うん、ご・・・」 また謝りかけて止める。 でも申し訳なくて謝るしかできなかった。 「いいよ、俺ふられても桜花ちゃんの事好きだから、絶対に諦めない!」 一途な葵くんの想いが余計に辛い。 何を言えば良いのかわからない。 葵くんも黙ったままだ。 葵くんとの間に重苦しい空気が漂う。 私はまるで時が止まってしまったように固まってしまったまま次の言葉が出ない。 この重い空気に耐えられず息が詰まってしまいそうだ。 「おーい!桜~」 背後からゆきちゃんの声が聞こえる。 振り向くとそこに親友のゆきちゃんが駆け寄ってくる。 「あっ!ゆきちゃん」 ゆきちゃんが来てくれたお陰で一気に時間が流れ出し内心ホッとする。 「なんだ、優希か!邪魔すんなよ!」 「なんだとは何だよ!」 「それで何が邪魔だって?」 「なんでもない!じゃあ俺は行くから、桜花ちゃんまたね」 「うん」 「早くあっち行け!」 「うるせー!」 「ふん!」 ゆきちゃんと葵くんはいつも口喧嘩をしている。 だけど本気で怒ってるわけじゃなくこんなやり取りは2人にとってみれば挨拶みたいなものだと思う。 今は葵くんが気まずくて退散した感じだけど。 などと考えているとゆきちゃんが突然とんでもない事を言って来た。 .
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