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そんな時、学級委員長の広瀬蛍子が声をかけてくる。
「真下さん、鮎川君、買い物をお願いします」
久しぶりの仕事だ、だけどどうして私と大輔なんだ?
「委員長、買い物はいいけどどうして大輔となんだ?桜と行ってくるよ」
「だめよ、咲原さんと葵くんは今一生懸命看板を作るのを手伝ってくれているのだから」
それを聞いた彰弘が横からちゃちゃを入れる
「そうだ!委員長の言うとおりだ。俺たちは一生懸命やってるんだからお前ら二人で行ってこいよ」
「うるさい!」
桜と一緒に居たいから邪魔者の二人は買い出しに行ってこい!
という態度があからさまにでている。なんだか腹が立つ。
そこで委員長が追い討ちをかける
「買い物係は4人だけど真下さんと鮎川君だけが暇そうにしているじゃない」
確かに仕事がなにもなくぼーっとしていたので言い返す言葉がない。
「ゆきちゃん、この看板に塗る絵の具がもう殆どないの、申し訳ないけど鮎川くんと一緒に行って買ってきてもらっていい?」
桜もどうせなら彰弘と二人で行って来てとお願いすれば大輔と二人になれるのに。
あっ、そうかさすがに大輔と二人きりだと緊張しすぎて無理か。
考えてみれば大輔に聞きたいこともあるし丁度いいかもな、ちょっと出かけよう。
「桜に頼まれたら断れないな。じゃあちょっと言ってくるよ」
「うん。お願い。ゆきちゃんありがとう」
「別に礼を言われることじゃないけどな」
当たり前の仕事を了承しただけで面と向かってお礼を言われると照れるじゃないか。
「じゃ大輔、行こうか」
そう言って、大輔の返事も待たずに教室を出る。
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