プロローグ

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俺は慌てて地下鉄の入り口へ向かう。 辺りは騒然となり野次馬が次々と地下鉄の入り口を固める。 俺は交差点の反対側にいたので入り口に着いた時には既に何重にも人の壁ができてしまっていた。 しかしあの車に乗っているのは間違いなく俺の同級生だ、この野次馬達に遠慮なんてしていられない。 俺は無遠慮に人を掻き分け最前列へ向かう。 入り口から見ると車は階段の途中にある踊り場に作られたガラス扉を突き破ったところでとまっていた。 そこでハタと気付いた。 救急車を呼ばなくては。 携帯を取り出し119番に掛けようとして手を止める。 よく見ると多くの人達が既に救急車や警察に電話しているようだ。 電話をするのをやめて急いで階段を下り、車へ向かう。 だが車の前半分がガラス扉を破っての向こう側にあるのでどうにかしたくても何も手が出せない。 下手に触って車がさらに下に落ちても困る。 中の二人はよく見えないがシートに座ったまま全く動いていない。 俺以外にも数人この踊り場近くまで下りて来ているが誰も手を出せないでいる。 その中の一人が誰にともなくこの事故は不幸中の幸いだと言う。 何の事を言ってるのか分からなかったがその人の次ぎの話で理解できた。 .
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