プロローグ

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風が吹き荒ぶ屋上。 オレ、篠崎 櫻は給水タンクの上に寝転がり、どこまでも青い空を眺めていた。 太陽は照りつけることもなく、ただ蒼天に輝く。 吹き荒ぶ風は暖かくもなく冷たくもない。 雲だけが留まることなく流れて行く 「退屈だな……」 誰に言うでもなく呟く。 そうすることで一人でいる空間を彩るように…… だが、すぐに言葉は虚空に消えて行く。 「…………」 無言で立ち上がり、黒いブレザーと黒み掛かった灰色のズボンに付いた埃を払い、給水タンクを降りて屋上の出入口に向かう。 と、同時にチャイムが鳴る。 現在オレはここ、黒須野高校にいる。 今のは四限の終業チャイムだ。 昼休みになる前に教室に戻ろう…… 最後に後ろ髪を引かれるように振り返り、空を見上げる。 ――見上げた空は、無慈悲なまでに蒼かった――
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