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「…………でさ~、って、おい櫻? 聞いてんのか、おい?」
「………え? あ、えっと」
屋上からオレのクラス、1年C組に戻り、オレの席――教室の窓側の一番後ろ――に着き、また空を眺めていた。
オレに話し掛けているのは、中学の時から一緒の相川 颯太。
いつもヘアバンドで髪を掻き上げていて、常に手帳を持ち歩いている。
――そういえば戻って来てから早々、話し掛けられていた気がする。
上の空で適当に相づちをうっていたから、話の内容なんて、全然頭に入っていない……
「すまん、えっと、何だっけ?」
はぁぁ~、重いため息を吐き、呆れ顔をする颯太。
細い目を更に細め、言葉を紡ぐ。
「だ・か・ら! 何でいつも! 金曜! 四限に! ノートを! 俺に押し付けてエスケープしてるんだよ!!」
こころなしかイラついてる、てゆうかイラついてる。
「別に今に始まったことじゃないだろう…… 対価として、課題やテスト前に要点教えてやってるだろう?」
そう言いながら、オレは颯太の購買で買ってきたであろうカツサンドを奪う。
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