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静寂な部屋では時計の針が時を刻む音と、母と父の微かな声が聞こえるだけである。 両手をグッと握ってその沈黙に耐えていると、 「どうだと思う?」 「……っへ?」 笑みを深めて、いつもより低い声でそう言ってきた陸に変な声しか出てこなかった。 まさかの返しに、なんて言えばいいか分からない。 目を見開き、金魚のように口を開閉していると、 「…………っぷ」 何故か陸が吹き出した。 意味が分からずに唖然とする私を残して、陸は笑いを耐えている。 ――っえ? 何!? そんなことを思って戸惑っていると、 「麻美可愛い」 笑いを耐えていたせいか、若干涙目になりながらそんな甘い言葉が落とされた。 頬が……いや、全身が熱を持っているようで熱い。  
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