2人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
…
……
………
パチパチ…バチッ!
燃え盛る炎の前に私は立っていた。
私の目の前で燃えているのは私達家族の家だった。
それだけじゃない。
その周りの家も、木も何もかも燃えている。
私の目はかなり澄んでいただろう。何も考える事が出来ず、ただ立ち尽くすしかなかったのだから。
お母さんがまだ家の中に居るの。誰か助けてよ…
誰か………
………
……
…
バシッ!!
痛っ!
私は誰かに頭を叩かれ目を開けた。
目の前に広がるのは授業中の教室の風景。
私を叩いたのは通称アタマルちゃんと呼ばれてる英語の教師だった。
そう呼ばれてる理由はまぁ、頭が丸いから…かな。
「泉沢ぁ…授業中に居眠りとは、大した余裕だな。ん?」
アタマルは私にそう言いながら教師用の教科書を丸めて手の平の上でポンポンしている。
「英語なんてとっくの昔にクリアしましたから。つまんないんです」
私は本当の事をサラッと言い返してやった。
こう見えても英語を始め、九ヶ国程の外国語はマスターしている。
そんな私に今更、英語の授業なんて暇すぎるだけなの。
それを目の敵にしてるこのアタマルは私にばかり厳しく当たってくる。
「泉沢、だからと言って居眠りはいかんだろ」
「どうしてですか?私の他にも寝てる人、居るじゃないですか。」
「ん?例えば?」
一度、眼科に行ってこい。私はそう思いながら、アタマルの立つ横、少し前に目をやった。
やっぱり。私が目をやった席で孤堕ナオキは優雅な寝顔で眠っていた。
「いくら頭がいいからってそれを自慢するような行動ばかりするのはいかんぞ。泉沢。お前も謙遜と言う言葉を覚えなさい。」
先生こそ、もう少し日本語を勉強しなさい。
そう言ってやりたかったが、それは授業の終わりを告げるチャイムに遮られた。
最初のコメントを投稿しよう!