#1 俺と一緒に死んでくれませんか?

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『これ以上、ね負担かけられないんですよ‥』 彼女の両親はいい人達だったが、幼い頃に交通事故で亡くしてしまい、親戚に引き取られたはいいが、病気のせいで結局たらい回しにされたらしい。 そして最後に拾ってくれたのは、親戚でも何でもない近所の老夫婦だった。 夫婦は両親のようにとてもよくしてくれたが、近所からの風当たりは厳しかった。 病気の症状を抑えるのに高い薬を買わなければいけない上、ひどい時は外にも出られないので仕事にいけない。 いつしか近所で私は"金食い虫"と呼ばれていた。 正直どうでも良かった。 しかし許せないのはよくしてくれたおじいさん、おばあさんを"偽善者夫婦"呼ばわりした事。 もうこれ以上こんないい人達に迷惑はかけられない。 置き手紙を書き、飛び出してきたそうだ。 俺も黙って聞いた。 彼女の境遇に俺が介入していいわけはなかった。 それでも彼女が話し終えた時、俺は喋り出していた。 『あなたはそのお世話になった夫婦に死に姿を見せたいんですか?』 彼女の表情が変わった。
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