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『どういう‥意味ですか?』
彼女は震えながら言った。
『その夫婦はあなたに死ねって言ったんですか?あなたが本当に邪魔だったんですか?』
『違いますよ。でも私が居るとあの人達が酷い目に合うんですよ‥私はあの人達に何も出来ないのに‥』
彼女は涙を浮かべていた。
『それで選んだ答えが死ぬことですか?死ぬことでその夫婦は幸せになれるとでも?』
『あなたに何が分かるんですか!?私のせいで苦しんでるのに、私はそれを見ているのにそれでも私の前では笑顔で居てくれる…この辛さが分かりますか!!』
涙が零れていた。
『分かりませんよ。でもね、そんなに必死で庇ってくれるのはあなたが大事だからですよ。病気持ちでも、辛くても、"生きろ"って言ってるんですよ。そんな夫婦に死んだ姿を見せられますか?』
本当はここへ死にに来たはずだった…。
でも今日初めて会った彼女の目はまだ生きたいという希望でいっぱいだった。
…そんな人を巻き込んでなんて死ねない。
ましてよくしてくれた彼女の老夫婦に悲しい思いはさせられない。
いつしか俺は彼女に生きろと言っていた。
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