1人が本棚に入れています
本棚に追加
冗談っぽく言うとエドは、それは俺達が困るぜ、と笑いながら答えた。
「フォール、ちょっと来てくれ」
コーチが俺の肩を叩きながら耳元で言ってきた。
「? なんですか、次の次打順回ってくるんですけど」
「監督には伝えてある。交代だ。それに急用だそうだ」
「?」
なんだか、急ぎの用であるようで渋々コーチの後をついていった。その後ろ姿はいつもの威張っているコーチではなかった。
「コーチ、誰が俺に用があるんですか?」
「会えば分かるだろう」
コーチは目線も合わせずに歩く速さを少しだけ上げて進んだ。そして、グラウンドから出て大学校舎の一室に入った。
「やぁ、フォール・セブンフィールド君だね」
部屋に入ると同時に正面に初老の男性が椅子に座り手を組みながら声をかけてきた。その両脇には一人ずつサングラスをかけ黒いスーツを着たガタイの良い男が立っている。コーチは部屋には入らず俺だけよく分からないまま初老の男の前、机を挟んだ位置に立った。
「そうですが、あなたは?」
「名乗るほどではない者だよ。君の噂を聞いて思わず来てしまったファンだよ。それと君にお願いと君のお願いを聞きに来たのだよ」
最初のコメントを投稿しよう!