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「すげーよな、天才っているんだな……台和高校ってそんなに天才揃いなのかね」
――台和高校?
聞こえた校名に、嘉はゆっくりと口元を歪ませた。
それは新しい玩具を見つけた子供のような
悪魔が獲物を見つけたような
どこか、鋭さをもった笑みだった。
「コウくーん!」
「げふッ!?」
ゴキッ!!と首が有り得ない悲鳴を上げた。
痛みを訴えるだけで済んだ自分の身体に、心の中で拍手を送る。
……そしてゆっくりと振り向き、彼を壁にめりこませた犯人を睨みつけた。
「あっゴメン、力強すぎたよね!?ごめんっ、コウくんっ」
「……何の用?」
コウくん――もとい、神宮寺 孝四郎はうんざりしたように返す。
高校生らしからぬ大人びた瞳が見た先にいるのは――菅原 未来[すがわら みく]。
天真爛漫という言葉がピッタリの可愛い女の子である。
「模試、どうだった?アタシさっぱり分からなくて……」
「勉強しなよ」
まさに一蹴。
優等生である以前に『孝四郎』に言われて未来はしょげ返る。
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