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一瞬、交差する視線。
「それでは受験票と筆記用具以外は片付けて下さい、全国一斉模試を始めます」
――話し掛けてみようか。
そう思った瞬間に監督官の声に邪魔され、タイミングを失った。
まぁ別に模試が終わってからでもいいし、逸る必要もないか。
そう思い、嘉は筆記用具を机に出した……。
「……ダルい」
昼休憩。
何人かに一緒に昼食をと誘われたが一人になりたくて断り、嘉は屋上へ来ていた。
まだまだ冷たい風が身体を急速に冷やしていく。ここに来るのは早まったかな、と少し後悔した時――
「分かった、調べておくよ」
凛としていて、迷いのないその声が落ちてきた。
――さっきの人、だ。
声の方向を考え、嘉は後ろを振り仰ぐ。
屋上への入り口の上、マンガに出て来る不良の昼寝の定番の場所を。
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