1st:similar devils

4/25
前へ
/27ページ
次へ
  一瞬、交差する視線。 「それでは受験票と筆記用具以外は片付けて下さい、全国一斉模試を始めます」 ――話し掛けてみようか。 そう思った瞬間に監督官の声に邪魔され、タイミングを失った。 まぁ別に模試が終わってからでもいいし、逸る必要もないか。 そう思い、嘉は筆記用具を机に出した……。 「……ダルい」 昼休憩。 何人かに一緒に昼食をと誘われたが一人になりたくて断り、嘉は屋上へ来ていた。 まだまだ冷たい風が身体を急速に冷やしていく。ここに来るのは早まったかな、と少し後悔した時―― 「分かった、調べておくよ」 凛としていて、迷いのないその声が落ちてきた。 ――さっきの人、だ。 声の方向を考え、嘉は後ろを振り仰ぐ。 屋上への入り口の上、マンガに出て来る不良の昼寝の定番の場所を。  
/27ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加