1st:similar devils

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  きらり。 何かが瞬いて見えたと思ったと思った刹那、高い機械音と突風が嘉を襲ってきた。 ――キィィン……! 「うわ」 「!」 思わず洩れた声に影が動く。太陽の光が遮られ、細めていた目を開けた――その大きな目に映ったのは、やはり"彼"だった。 「……」 「……」 再び目が合ったが、そこに会話は生まれなかった。当然と言えば当然かもしれないが……。 「――台和高校?」 「そうだけど」 深緑の制服と胸元のエンブレムを見て、彼が私立台和高等学校と判断した。 少なくともこの辺りの学生ならこの高校の名前は知っている。嘉が通う私立東高校と同じように。 「何か用?」 「用……は、ないかな。あるのは興味だよ」 そう返した瞬間、眼鏡の奥の冷たい色の瞳がすうっと細くなった。 微笑みながらそれを観察し、用心深い性格なんだなと嘉は思った。  
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