出会い

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昼休み。 テラスのベンチでお弁当を開くミハルと由香。 「あのさ…由香、ありがとうね。今朝のこと」 「ああ、笹原先輩のこと?」 「それもそうだけど、教室でもさ」 箸をウインナーに突き刺したまま、ミハルをじっと見る由香。 「あの子たちに詮索されると、うるさくなるような気がしたから。 笹原先輩の場合は…」 ミハルの恋人、笹原和樹のことを話す前に一呼吸。 「私の勘違いかもしれないけど…、笹原先輩って、なんていうか完璧過ぎて。 そのせいかめっちゃプライドが高そうに思えるんだ。 だから自分の彼女を知らない男が訪ねてくるなんて、許せないんじゃないかって。 ましてや、ミハルの名前も知ってたし、約束がどうとか言ってたじゃん? 説明もめんどくさいしさ」 パクリとタコさんウインナーを口にした。 「プライド高いか…そうかも…」 お弁当を開きかけたまま、ぼんやり答える。 「あ、ごめんねっ、なんか他人の彼氏を悪く言っちゃって」 「全然、当たってるような気もするし」 「でもさ…、ホントに思い当たることないの?今朝の人。 あっちはミハルの名前を知ってたんだよ。 躊躇せず、ミハルって呼んでたし」 「それなんだよね… 知らない人なんだけど、どこか、何か、ひっかかる感じがするんだよね… 誰かに似てるのかなあ?」 「芸能人とかじゃない? まあ知らないなら、知らないで気をつけないとね」 「え?」 「ストーカーとかね」 「まさか…」
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