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「おはよー♪」
「おはよーミハル!
ねぇねぇ、ニュース見た?」
由香がミハルに近づいてきた。
「え?何の?」
「隣街でさ、殺人事件があったでしよ?
中年のおじさんが殺されたってやつ」
ミハルは今朝のテレビニュースを思い出した。
「…あぁ、今朝チラッと見たけど、よくわからないわ」
不機嫌そうな父親の顔を思い出していた。
「その事件の犯人像、知ってる?近くの防犯カメラに写ってる怪しい人物がいるらしいよ」
「そうなんだ、じゃあすぐに犯人は捕まるね」
通り魔かもしれないと言っていたから、犯人が逮捕されれば一安心だと思った。
「そうなんだけど………」
そこまで話して由香は口を閉ざした。
「なに?由香…」
問いかけるミハルをつかまえて、廊下に引っ張った。
「どうしたの?」
「あのさ…そのカメラに写ってた人物の特徴が…」
由香はさらに声をひそめた。
「…この前、ミハルを訪ねてきた男の人に似てるんだ」
「えぇっ!」
思わず声をあげたミハルの口を、由香が押さえた。
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