139人が本棚に入れています
本棚に追加
「しーっ!!!はっきりとはわからないんだけど…なんか、金髪で上下黒い服に、スラッとした体型だって…」
「ちょっと待って、由香!
それくらいの人物像ならどこにでもいるってば!
早とちりは悪いよ、あの人に」
「そうなんだけど…、なんかピタッとはまる気がしてさ。
そうだよね!今どきの男はみんなそんな感じだよね?」
「そうそう!いくら知らない人でも悪いって」
「知らない…か。
ねぇ、あれからは現れてないの?」
「うん、人違いに気づいたんじゃない?」
「それならいいんだけどね。
でもさ、帰りは一緒に帰ろうよ、途中まででもさ」
「そうだね、犯人がつかまるまでは気味悪いしね」
授業の始まりのベルが鳴った。
爽やかな風が吹き抜ける校庭。
校門の壁にもたれて、タバコに火をつける人影。
足元にまとわりつく、小犬。
唇に光る銀のピアス。
くゆらす煙の向こうの空を見る眼差しは、揺るがない何かをとらえていた。
最初のコメントを投稿しよう!