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「おはよう!ミハル。なんだかだるそうなのは、今日が月曜日だからかな?」
校門まで続くなだらかな坂道で、クラスメートの由香に背中をたたかれた。
「あ、由香…、やっぱりだるそうに見えた?ってか、めっちゃだるいんですけど」
まぁだいたい、月曜日はそんな感じなのがいつもだから、今日が特別ってわけでもないと思いつつ、指摘されただるさを強調してしまうのは、気にかけてくれたクラスメートに対する社交辞令。
「なに?夜遅くまで勉強でもしてたり?今日の英語のテストは範囲が広いしね」
「え?テスト?やばっ!忘れてたよ」
「違うの?じゃあ、あれだ、愛しのダーリンと長電話だね」
由香はいたずらっぽく、人差し指を顔の前にたて、チッチッと振った。
「え?まぁ…そんなとこ」
適当に答えてしまう。
「まったく!いいわね、ラブラブで。私にも誰か紹介してよ」
「紹介って、由香はイケメンしか興味ないんだから、無理!
ん?あれ?なんだろ、由香、ちょっとあそこ見て」
ミハルが指差した方向には、女子が人だかりを作っていた。
「なんだろ…、誰か有名人でもきてるとか!」
アイドルの追っかけをしている由香の目が輝いた。
「まさか!なんでうちの学校に」
あり得るはずがないと首をふるミハルの腕をつかんで
「いいから、行ってみよ」
由香は走り出していた。
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