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「え?」
ミハルが由香を見た。
由香は軽く目配せをして見せた。
教室に入るとクラスメートがミハルに寄ってきた。
「ねぇねぇ、ミハル。さっきの人誰?」
「知り合いなんでしょ?教えてよ。笹原先輩がいるのに、あんなイケメンまでってズルいじゃん!」
「知り合いって…別に…」
「あぁ、なんかね、人違いだったみたいよ!
すぐに行っちゃったし。ね、ミハル」
返事につまるミハルに代わって由香が答えた。
「…うん」
ミハルは由香の話に合わせることにした。
「なぁんだ、知り合いなら紹介してもらおうと思ってたんだけどな」
「なんか、こう…翳りみたいな、感じ?見た目は目立つのに誰も寄せ付けない…誰なんだろ?」
「でも、ミハルが知らないんじゃわからないね」
クラスメートは口々に言うけれど、ミハルは何も言えず、意味もなく鞄を開けたり閉めたりしてうつむいていた。
「あのさ…、ミハルの知り合いだったら真っ先に私が紹介してもらうってば!
ちょっとタイプだったんだよね」
由香までが話に加わる。
「ね、ミハル!」
由香に言われて、ミハルは顔を上げた。
「え?あ、うん…」
中途半端に答える。
「というわけだから、解散!」
ほら、あっち行った行ったと言わんばかりにクラスメートを払う由香。
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