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町には綺麗な車が沢山いました。
華奢で色んな色の車は、町にあってもおかしくありません。
僕より身体が小さいのが、当たり前なのだろうか。
近くの赤い車に、話しかけてみることにしました。
「ねぇ、君達はいつも何をしているのかなぁ?」
話しかけられた車は、うさん臭そうにこちらを見ています。
「人を運ぶのが、車の仕事だぜ。
お前、頭がおかしいんじゃねぇのか?」
「僕にも、その仕事出来るかなぁ?」
「近寄んじゃねぇっ。
身体に傷がつくだろうが。
お前みたいに燃費の悪い、無駄の塊にゃあ、誰も乗らねぇんだよ。」
そう言うと、赤い車は排気ガスを吹きかけて、何処かに走って行きました。
ここは僕の居場所じゃあないのかもしれません。
ショウウインドウに写る僕の身体は、他の車と違います。
かくかくして、反射のしない緑色の身体は綺麗とは思えませんでした。
僕はため息をつくと、町外れの基地に行くことにしました。
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