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二人は 後ろの座席でぎゃぁぎゃぁ騒ぎ立てたが もはや 車の中。
走り去る車の中では外に声はそうそう漏れない。
しかも、 朝早い あの時間帯――――。
目撃者も 誰も居なかった。
「―っさい!黙れ!!」
赤信号で止まったと同時に ハンドルを拳で殴りながら男は怒鳴った。
びっくりして後ろの2人も叫ぶのを止めた。
「こ……こっちだって 落ち着いて居られないんだ。頼むから黙っておけ!」
男の声は動揺で震えていた。
彼の声からは
すぐに、初めての犯罪だと気付く。
しかし、外も見えない 怒鳴られている後ろの2人二は
それを気付けたかは 定かではない。
縛られている手から 愛が震えているのがわかる。
「……どぅなっちゃうんだろ………」
涙声で愛は小さく言った。
霞美にだけ聞こえる 小さな声で…、、、
「―愛ちゃん…」
霞美は縛られながらも愛の手を握った。
車の中は急に静まり返り エンジン音だけが車内に響く。
静かになり 男も冷静さを少し取り戻した。
しかし、自分がどれだけの事をしているのかをリアルに考えられる程の思考回路はまだ戻っていない。
彼は目的地に着くまで ただ無言で車を走らせた―――――。
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