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程なくして聞こえた声に、目を開けた。
あの頃より、随分とどす黒い顔色。
顔が少しむくんでいるようだが、瞳は、あの頃のまま、真っ黒でクリクリ。
「こんにちは、春香ちゃん」
俺は、あの頃と変わらない挨拶をした。
「お兄ちゃん、こんにちは」
躊躇いながらも、彼女もまたあの頃と変わらない挨拶を返してくれた。
それに微笑み返して、上体を起こした。
「座れば?」
「あ……うん」
「…………」
「…………」
「「驚いた」」
プハッと、同時に噴き出し、笑いあった。
「いつ気がついた?」
「視線。ずっと見られてたから」
「ハハ。よくわかったね」
「先生は、あまり変わってないから。それに、そんなイケメンそういないしね」
高校生から大学生。
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