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男は、化粧もしないから、身長は変わっても、あまり変わらなく見えるかもしれない。
「先生こそ、よく気づいたね」
「名前、忘れるかよ。俺の記憶力なめるなよ」
こうして、話して笑い合っていると、あの頃と変わらない笑顔を見せてくれた。
気にし過ぎならいい。
「先生、ごめんね」
「何が?てか、まだ、本当の教師じゃないから、ここでは、“お兄ちゃん”で頼むよ」
彼女に先生と呼ばれるのが、なんとなく照れ臭い。
「じゃあ、お兄ちゃん。私、突然来れなくなったから、寂しかったかなって」
「ハハ。本当だよ、寂しかったよ。でも、すでに、春香ちゃんは、俺を元気づけてくれていたんだよ」
「ハァ、よかった」
長い安堵のため息に、彼女の優しさをかいま見た。
「私ね、倒れて入院しちゃったの」
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