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「それ、訂正していい?」
「え?……うん」
彼女には、誤解されたくないんだ。
俺は、内から押し寄せる気持ちに薄々気づきながら話し始めた。
「別に、桜井先生の彼女に手を出したわけじゃないよ。ただ、桜井先生と俺が、同じ女の子を好きになっただけ。俺は、結果的に負けて、女の子は、桜井先生の彼女になったとさ。チャンチャン」
少しおどけたように言ったのは、彼女に、変な気を使わせない為。
心の綺麗な彼女だから、気にしてしまうから。
なのに……。
「ごめんなさい。話したくないこと言わせてしまって」
と、涙ぐむ優し過ぎる彼女。
どうしようか?
生徒だけど、頭くらい触れてもいいだろうか?
俺は、緊張しながら、頭を撫でた。
「大丈夫だよ。もう、気持ちにケリがついている」
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