1397人が本棚に入れています
本棚に追加
/98ページ
我慢しようとしても我慢出来なくて、ついにプハッとまた笑い出した。
彼女の表情は、コロコロと変わって面白い。
どんなきっかけにせよ、あの頃と変わらない笑顔に釘付けになった。
「したんだよ。……計算。春香ちゃんが、高校生くらいになってるかってね」
嘘だとバレてもいい。桜井先生の方が、ウエイトが大きかったと気づかれていても構わない。
でも、彼女は、借りてきた猫のように大人しくなった。
微妙な空気に変えてしまったのは、俺のせい。
彼女を照れさせてしまったのは、計算違いだ。
「なんて、信じた?本当は、桜井先生に勝ちたかっただけの俺の小さなプライド」
「え?」
驚いた彼女は、俺の心を読み取ろうとしたのか、じっと俺を、クリクリの目で見つめて……。
フワッと風が吹き、彼女の髪の毛の匂いが俺の鼻を掠めたと同時に、彼女の手が、俺の頭を撫でた。
最初のコメントを投稿しよう!