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「春香ちゃん?」
煩い。久しぶりに、心臓がザワザワと煩い。
「あ……ごめんなさい」
先生にこんな失礼をと、立ち上がりペコペコと頭をさげる彼女。
「やめて、春香ちゃん。ここでは、先生じゃないし」
「でも……」
「ねぇ、春香ちゃん。まだ、毎日ここに来てるの?」
「え!?あっ、……はい」
「じゃあ俺も、お礼に行く。春香ちゃんと再会させてくれてありがとうって」
立ち上がり、神社に向かってゆっくり歩く俺。
“春香ちゃんと会わせてくれてありがとう。春香ちゃんの腎臓病が良くなりますように”
俺は、境内の前に立ち、手を合わせた。
頭を下げて、振り返ると、すぐ後ろに同じように頭を下げていた彼女。
春香ちゃん、君は、今、何のお礼をしただろう?
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