1397人が本棚に入れています
本棚に追加
/98ページ
「春香ちゃん、一つ、聞いてもいい?」
「はい」
「学校で、なぜ外を見ていたの?笑わないのはなぜ?」
「一つじゃないよ、それ。二つじゃん」
クスクスと笑いながら、境内から、先程のベンチまで戻ってきた彼女は、境内に視線を移して、ゆっくりと話し出した。
「嘘なんです」
「えっ!?」
「本当は、朝の実習生の挨拶で気づいていたんです」
「あぁ、俺のこと?」
「はい。皆に騒がれているお兄ちゃんが嫌で、見ないようにしていたんです。あの時、笑ってなかったのも同じです。皆と笑っているお兄ちゃん見たくないから」
「…………」
「わけわかりませんよね」
いや。わかってしまった。
それって、ヤキモチだよ。
「あ、でも……私、学校であまり笑いませんよ。もともと、お兄ちゃんの前だけだったかな?」
「嘘だろ?」
最初のコメントを投稿しよう!