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俺が知っているのは、無邪気に笑う当時の彼女。
それから、今も楽しそうな笑顔を見せる彼女なのに?
一度首を横に振った彼女は、大きく息を吐きながら言った。
「家では、病気だから過保護にされちゃってて、なんでも両親の言いなりになってましたし、学校では、病気のことで、イジメられていたから」
胸が痛い。
何でもないことのように言ってしまう彼女が……。
「だから、私も寂しかったんですよ、本当は」
「春香ちゃん……」
あの眩しい笑顔の裏。
あの時、気づいてやれなかったことが悔しい。
「ごめんね、春香ちゃん」
「え?」
「気づかなくてごめん」
「いいの。たった一週間でも、すごく大切な時間だったから」
不覚にも、涙が出そうになった。
だが、それは、彼女を傷つけてしまう行為。
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