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いつもより少し遅い時間。
まだそこに彼女がいる保証はない。
それなのに、学校を出ると俺は、一目散に駆け出した。
泣いているような気がしてならない彼女にどうしても会いたくて。
この腕で、慰めてやりたくて。
公園の入り口に立つ俺は、息があがり、肩で息をしている。
その視線の先に、彼女の姿は、もうなかった。
俺は、大きく深呼吸をしてから、昨日のベンチに腰を下ろした。
「ハハ、俺、何、やってんだろ」
自嘲しながら、寝転がり、額から流れ落ちる汗を拭った。
「あ……先……お兄ちゃん?」
それは、聞きたかった彼女の声。
その声は、滑り台の上から聞こえた。
「そんなところで何やってんだよ」
「今日、山城先生に言われたの」
「何を?」
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