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彼女が、ご両親に心配をかけないように、気丈に、イジメに耐えてきたことを俺は、知っている。
その彼女が、ご両親に心配をかける行動を自らとるとは、考えられない。
となると、思い付くのは、ただ一つ。
あの場所に、毎日、足を運んでいるのではないかということのみ。
俺は、自分の実習の忙しさを伝えずに、約束をした。
だが、その約束を聞き間違えたり、実習中でも会えると期待したりして、あの場所に、毎日、寄っていたとしたら……。
俺は、山城先生に遠くから頭を下げて、職員室を飛び出した。
先日、こうして飛び出した時よりも、心配が大きい。
それは、彼女のご両親が、先程、山城先生に伝えたことが原因かもしれない。
「食事や運動を制限してきたのに、透析になってしまった。やっと、普通に近い生活させてあげれるかと思ったのに、思わしくないんです」
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