1397人が本棚に入れています
本棚に追加
/98ページ
その純粋さが、愛おしい。
「ったく、貸して」
返事を聞かぬ間に、彼女の手から携帯を取り上げ、操作をした。
「え?先生?」
「…………」
「な、何をしているのですか?」
「…………」
「もう!お兄ちゃん!」
「何?」
「何、やってるの?」
明らかに、赤外線で番号交換をしている俺に、戸惑いの声を出した彼女。
「番号、入れておいた方が、便利だろ?」
「職権乱用じゃないですか!?」
「違う。ここでは、お兄ちゃんと言ったはずだ」
完全に俺の勝手。
自分勝手な解釈。
「何もない方がいいが、何かあったら、頼っておいで」
ストンとその手の中、携帯を戻した。
「ずるいです」
「え?」
「す、好きな女の子いるくせに」
……は?
最初のコメントを投稿しよう!