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「好きな子の望みが叶うように、その子の望みが叶ったら、俺に振り向いてくれますようにって。春香ちゃんの願いは、まだかもだけど、俺の願いは叶った」
もう一度、この胸にキュッと閉じ込めると、伝わる彼女のドキドキ。
緊張している。
俺も、本当は、同じように緊張している。
二人の心臓の音が、やけに大きく聞こえる。
「春香ちゃん。順番は逆だけど、君の願いも叶うよ、絶対」
「うん」
「俺が、側にいるから、大丈夫」
絶対とか、大丈夫とか、何の保証もない言葉。
薄っぺらいと思ったけど、俺を初恋だと言ってくれた彼女。
だから、俺は、薄っぺらい言葉に、全力をかける。
俺を好きになったことを後悔なんてさせないように。
それから俺は、触れるだけのキスをした。
「ファースト……キス?」
「うん」
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