プロローグ

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「だから、最近、毎日此処に来てたの?」 此処は、神社の境内が見える小さな小さな公園。 此処で、神社を見ながら物思いにふけっていたのを、少女は、気づいていたらしい。 「神様にお願いしても、叶わないけどね」 別に、何かを願いに来たわけではない。 ただ、少女に説明するには、難しいだろうとそんな言葉で濁した。 「ふぅん」 少女は、不思議そうな顔を俺に向け、何か一生懸命考えていた。 「お兄ちゃん、私ね、ココに毎日来てるんだよ。知らなかったでしょ?」 「うん、ゴメンね。気づかなかった」 「うぅん、いいの。私ね、お礼を言いに来ているんだ」 「お礼?」 「うん。今日も一日、無事に過ごせました。ありがとうって」 そうか。 少女には、神社は、お礼を言う場所で、願い事する場所じゃないのか。
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