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気持ちが繋がったからって、今の俺と彼女は、すぐにカレカノにはなれない。
それは、俺よりも彼女のがよく知っていた。
「お兄ちゃん――」
彼女が何かを言いかけた時、彼女の携帯が鳴る。
彼女を捜して、学校に連れて戻るつもりが、ご両親には悪いが、俺の気持ちを優先してしまった。
ただ、はいとごめんなさいを繰り返す彼女。
彼女の人間味のある部分がどこにもない。
電話を切った彼女に、
「いつもそうなの?」
と、問い掛けた。
「え?」
「うん、だから、ご両親にいつもそんな感じ?」
「はい」
不思議なのかクリクリの目をさらに丸くして、俺を見上げてきた。
「春香ちゃん。本当にご両親に感謝しているのなら、このままではダメ」
「え?」
「もっと甘えて、我が儘言った方がいい。勿論、俺にもね」
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