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「たとえ、会えなくても気持ちは変わらないという自信があるからね。だから、大丈夫。いつも、心は、春香ちゃんの側にある」
俺の強い眼差しに、少し照れたような彼女。
その彼女の手を引いて、彼女のご両親が待つ家へ向かった。
何を話したらいいか、頭の中で組み立てながら、となりを歩く彼女に微笑みかけた。
会話はなくても、今、幸せを感じてくれているのではないかと、ほんの少し自惚れながら……。
彼女の家は、公園を更に下に降った場所にあった。
閑静な住宅街という言葉が、マッチする。
「お兄ちゃん、大丈夫?」
「あぁ。だけど、お兄ちゃんは、そろそろやめてくれないか?」
「あッ。じゃあ、秀也さん?」
「んー、秀也でいい」
「じゃあ、しゅ、秀也」
家がもう見えたという彼女を前に、こんな風に名前を呼ぶ練習をした。
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