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少し震えながら、俺の名前を呟く彼女が、とてもかわいい。
「行くよ」
と、気合いを入れた俺に、大きく頷いた彼女は、家のチャイムを鳴らした。
と、同時に、待ち構えたかのように、家の奥からドタドタと走る音。
彼女が、どれだけ心配されているか、愛されているかわかる足音。
ドアが開いた瞬間、
「心配かけてごめんなさい」
素直に謝った彼女。
それに合わせて、俺も頭を下げた。
「こちらは、どなた?」
困惑気味のお母さんの声に、彼女が話をしようとしたのを、俺は、手で制し、頭をあげた。
「はじめまして。彼女と親しくさせていただいております、松浦秀也です。今日は、ご心配をおかけしまして、大変申し訳ありません」
最大限、頭を下げた俺を、ご近所の手前、渋々だが、招き入れてもらうことが出来た。
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