言葉

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ここからは、俺が、俺自身の言葉で、丁寧に話しをするしかない。 こんな緊張感を持ったのは、美佳先輩とのデートでもなかったことで、人生初体験だ。 お父さんの顔は、ものすごく不機嫌であることが一目瞭然。 それでも、俺は、一歩、踏み出した。 「君は、娘とどういう関係かね?見たところ、年上に見えるが」 「はい、わたくしは、教育大学四年生で、現在、春香さんの高校の教育実習生です」 そう告げた瞬間、怒声が、室内に響き渡った。 「君は、教育実習にきて、何か!!娘をたぶらかしたのか!!そんな奴が、教師になるというのか!!許さん。絶対に、認めんぞ。学校に電話してやる!!」 俺が、予想した通り、怒りだしたお父さん。 となりの彼女は、ものすごく不安顔だ。 お母さんは、ただオロオロとするだけで、今、いれたお茶がこぼれたのさえ、拭くことをしない。
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