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「お怒りは、もっともです。ですが、どうか話を聞いて頂けないでしょうか？」
頭を下げた俺に合わせて、彼女も続いて頭を下げた。
「聞かんぞ」
そう言いながらも、帰れと言わないお父さんに、俺は、救われた。
「今は、実習生と生徒です。それ以上の関係はありません」
「当たり前だ」
ヤバい。
言った後に気づく。
俺は、彼女のファーストキスを奪ったんだったと。
冷や汗が出てきたが、やめるわけにもいかず、言葉を続けた。
「初めて会ったのは、まだ彼女がランドセルを背負っていた頃です」
「は？」
驚愕したお父さんからは、怒りがやや消え、変わりに、俺を怪訝そうに見てきた。
「はい。彼女とは、偶然、お会いして、少しだけ会話をする間柄でした」
「何が言いたい？」
低くすごみのある声だが、俺の話の意図が気になるらしい。
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