言葉

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お母さんと彼女は、俺の気持ちが伝わったようで涙を流していた。 お母さんにいたっては、ありがとうと。 お父さんは、微動だにしない。 男親にとって、娘は、特別だときく。 今が無理でも、何度でも通うつもりの俺に、しばらくして、お父さんが声をかけた。 「娘をたぶらかしたのかと言ったことは謝る。すまなかった。君とは、まだ付き合っていないのかね?」 「はい。今は、申し訳ありませんが、彼女にそんなリスクを背負わせることができません。私の片思いで、通しておいた方が賢明に思えるので」 「……わかった。この先、君のような青年に会えるとは思わない。娘が、また君を連れて来ることを待つことにする」 「はい。ありがとうございます」 数々の葛藤があったと思う。 俺に、言葉を告げた後、すぐに席を外してしまった。
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