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不思議そうな顔をしていた理由がわかった。
そして、俺の心のモヤモヤが、少女の言葉によって、スッと取り払われていく。
願うのではなく、感謝する。
先輩に出逢えて失恋したことに感謝してみようじゃないか。
そこから、何か重要なものが見えるかもしれないし、気づくことがあるかもしれない。
「ありがとう。少し、前向きになったよ」
俺の言葉にキョトンとしながらも、とびきりの笑顔を向けてくれた少女。
「私、里山春香。また、ココで会おうね」
俺を元気づけてくれた少女。
それから、一週間は、そこで会い、少女の話を一方的に聞いていた。
だが、その後、少女は姿を見せなくなり、俺も、失恋の傷が少女に癒されたこともあり、神社へ行く事がなくなった。
今ならわかる。
彼女が、神様に感謝していた意味が――…。
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