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俺は、大きすぎるそれを受け取り、境内にゆっくりと向かった。
「今日まで無事に過ごせました。ありがとうございます」
頭を下げた。
振り返ると、こちらに向かって歩いてくる彼女。
俺が待っていると、隣に立った彼女は、
「今日も一日、無事に過ごせました。ありがとうございました。素敵な二週間をありがとうございます」
と、いつもより一言多かった。
何の変化もなかった日常に、俺が入り込んだことで、彼女の日常は、ガラッと変わったはず。
良いことも悪いことも、この二週間には、あっただろうに、ニッコリと笑う彼女は、すごく素敵な生徒であり、愛しき女の子であり……。
抱きしめたいが、この両手いっぱいの荷物が俺を邪魔した。
とりあえず、定位置のベンチに腰をかけた俺達。
「…………」
「…………」
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