別れ

8/15
前へ
/98ページ
次へ
「でもね、春香ちゃん。覚悟しておいて!」 「……?」 「会ってない何年もの春香ちゃんを知ったら、何があっても、君を誰かに譲る気がないから」 驚愕して固まる彼女に向かって、さらに言葉を繋げた。 「たとえ、こんな年上が嫌だとか、もっと好きな奴が出来たとか言われても、俺に、今以上に惚れさせるから」 それくらい君に惹かれているんだから、自信持って! 「春香ちゃん、手。手、出して!」 俺が言うと、まるで、犬が飼い主にお手をするように手を出した。 「反対。掌を上に向けて」 「うん」 不思議がりながらも、従順な彼女。 掌を上にして、俺を見た。 俺は、カバンの中から、小さな袋を取り出して、それを彼女の掌の上に置いた。 「開けてみて」
/98ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1397人が本棚に入れています
本棚に追加