別れ

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カサカサと音を立てながらも、丁寧に、袋を開けるのは、彼女の性格の一つだろう。 袋を開けて、中を覗いた彼女の目がキラキラと輝いた。 本当は、女の子なら、指輪とかネックレスとか装飾品が喜ぶと思うから、そうしようと思った。 だけど、それじゃ春香ちゃんは喜ばない気がした。 将来を決める指輪で縛り付けるよりも、春香ちゃんらしいものを、贈りたいと思った。 少しの間、会えない分、寂しくさせないものが何なのか、それを考えた時、思い出した。 俺達を繋ぐのは、この小さな公園と神社だということを。 お守りをと思ったが、神社自体小さくて、お守り一つ売っていなかった。 だから、俺は、春香ちゃんのためにお守りを作った。 こんな子供だましなものいらないと言われるかもと思いながらも、春香ちゃんの純粋さに賭けたんだ。
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