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彼女の後ろをついて行くと、ひっそりと佇む一軒の小さな家があった。
「おじさん、いますかー?」
大きな声で、家主である男性を呼ぶ彼女の声にこたえるように、初老の男性が現れた。
「やあ、久しぶりだね、春香ちゃん。体の具合はどうだい?」
「うん、悪くないよ」
「そう。よかった。そっちの彼は、彼氏かい?」
「うぅん、違う。でも、運命の人だよ」
「そう。見つけたんだ」
「うんッ。あ……おじさん、これ見て。神社の石一つもらったけど、いい?」
「ハハ、大丈夫だよ。この石も、春香ちゃんの傍にいけて、喜んでいるよ」
「うん、ありがとう。おじさん、またね」
「ハハ。元気な春香ちゃんは、いいね。またね」
何だろう。この、疎外感は。
ここに、通い続けている春香ちゃんだから、知り合いだったっておかしくないのに、胸が痛い。
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