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「そうだね。でも、俺、ちょっと寂しい。おじさんは、俺の知らない春香ちゃんを知ってるし」
全て言うつもりはないが、少しだけ、春香ちゃんの素直さに見習い、思っていることを口にした。
「えッ!寂しいの?ごめんなさい」
「いや。謝らなくていいんだよ」
ただ、ちっぽけな俺の嫉妬だし。
と、小さな声で続けたけど、気づいたのか、聞こえたのか……。
俯いていた俺は、彼女に包まれて、目を見開いた。
「寂しいなんて言わないで」
あぁ。暖かい。
素直過ぎる彼女には、寂しいと言う言葉がよくないと、間違っていたと気づいた。
「ゴメン、春香ちゃん。初めて会った時の寂しいとは違うよ。あの時と今、俺、同じ顔してる?」
抱き着いた彼女の顔を覗き込み、きちんと視線を合わせた。
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