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抱き着いた時は、そうでもなかっただろうに、視線を合わせた俺を確認すると、みるみるうちに、真っ赤になっていく。
近すぎる距離が恥ずかしいらしい。
「う、うん。ち、違うから……。そ、そんなに近くで見つめないで」
スーッと、離しかける体を、今度は、俺が抱き留めた。
「寂しいじゃなかった。春香ちゃんは、ちゃんと俺のこと思ってくれているし。見てみたかったが、正しいかな。春香ちゃんの過去を。俺に再会するまでの春香ちゃんを」
こんなに素直に自分の気持ちを吐き出せるのは、春香ちゃんが相手だからこそ。
美佳先輩じゃ、かっこいいところを見せようとばかり、背伸びばかりしていたし。
「暖かいな、春香ちゃん」
「うん!」
「好きだよ、春香ちゃん」
「お、お兄ちゃん……」
「ハハ。秀也は、難しいか。顔、真っ赤だし」
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