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「少し落ち着け。そんなんじゃ、疲れてしまうだろ」
「だって……」
「すごく楽しみにしていたのはわかる。だけど、魚は逃げていかないから。ゆっくり歩け!走るな!」
本気で走ったわけじゃない。
気持ちだけが、馬鹿みたいに走っているだけだ。
「さっ、お説教していると、もったいない。行くよ」
ショーの時間を確認した俺は、彼女の手を再び繋ぎ、足早に歩いた。
彼女が疲れない程度に、急いで……。
そして、イルカショーの行われるプールの前に来た。
春休みとあって、沢山の人で溢れかえっていて、特等席は、既にいっぱいだ。
「うわぁ、すごい人なんだね!人気なのかな?」
目を丸くする彼女には、何もかもが新鮮らしい。
「あのなぁ、水族館つったら、イルカショーって付き物なんだよ。ここが、がら空きだったら終わってる」
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