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一つ技をする毎に、拍手だけで足りなくなって、歓声をあげる彼女。
そんな彼女を見ていて思うのは、この無邪気な表情も、海辺は寒いから駄目だとか制約されて、水族館にすら連れて来てもらえなかったのだろうということ。
病気のことを知ると俺もこうなってしまうのか?
彼女から笑顔を奪ってしまうのか?
知り合ったころのあの弾けるような笑顔を、見ることが出来ないなら……。
俺は、彼女の言う通り知らない方がいいのかも。
それでも、無知というのは、俺も恐い。
ちゃんと彼女のこと理解しておかないと、取り返しがつかないようなことが起きるのではないか?
そんな不安を脱ぎ捨てるなど、困難でもあって……。
「……さん!秀也さん」
俺を呼ぶ彼女の声で、ハッと我に返った。
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